Inversing Pictorial Space using Cosmetic Ingredients - A Collaborative Study on Oil Paintings
概要説明:メイクアップ製品に配合される特徴的な顔料であるパール剤。見る人との角度によって光り方が変わる性質を持ちます。今回わたしたちは、美術家の高屋永遠と絵画表現・絵画技法に関する共同研究を行いました。この研究では、油彩画、水墨画、テンペラ画、版画など平面芸術の範囲で知られている技法の描画、観察、分析を行いました。さらにパール剤を画材として使った技法・表現の開発を進め、新たな絵画表現の可能性を見出しました。本展では絵画技法を研究視点で紹介します。また、化粧用パール剤を画材として制作した油彩画作品1点、および、制作研究の現場を再現したアトリエのジオラマを展示しています。
メインとなる作品<罔象 比方/彼方>は、一見、曖味な形象を繊細な色彩で描く高屋らしい画風の抽象画ですが、見る角度によって水の波紋のような像が浮かび上がります。パール像があらわれることで作品がもたらす印象が変わり、絵画空間が複層化します。高屋の作品はもとより見る時々の心情によって受け取る印象が変わる複層的なものとして作られていますが、本作品では研究成果を活用し、この複層性を際立たせています。資生堂初代社長の福原信三は、『資生堂路史』の中で化粧品を藝術化する旨の文章を残しています。「藝術的良心の下に作製せられ其品質とともに使用者を惹附けずには置かない典雅優麗な資生堂化粧品が生まれた』。資生堂はその始まりから使う時々の心情によった印象をもたらすような、複層的な商品を作ってきたといえるのではないでしょうか。
【展示概要】
展覧会名:揺動する絵画空間 -化粧品原料を用いた表現の研究
会場:資生堂グローバルイノベーションセンター S/PARK MUSEUM 2F FUTURE ZONE
日時:2023年4月24日-5月13日
会館時間:11:00-18:00
<展示内容>
・化粧品原料を用いた画材による美術家 高屋永遠の空間性が表現された絵画作品
・共同研究によって生まれた新たな絵画技術(見る角度で印象が変わるパール剤による表現技法など)
・制作の様子を模したアトリエのジオラマの展示
【アーティストトーク】:「アート×サイエンス」の融合について
登壇者:美術家 高屋永遠 × 理学博士 山脇竹生(資生堂研究員)x 文化研究者 山本浩貴
日時: 5月6日 17:00-18:00
予約サイトURL: https://peatix.com/event/3546594
※参加可能人数に限りがあります。お早めにご予約ください。
【ワークショップ】
ワークショップテーマ:フィンガー・ペイントでキャンバスに花びらを描いてみよう!
日時: 5月5日 11:00-12:00・13:30-14:30/6日14:00-15:00
予約サイトURL: https://peatix.com/event/3546508